満たされていないニーズがある

投稿日: 2011年1月26日
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私は、翻訳者になって、12年が経ちます。

最初の5年間は、翻訳会社で社内翻訳者として勤めましたが、その間ずっと感じていたことがあります。それは、一語一句を忠実に直訳することに集中するあまり、訳文の論理展開や読みやすさが犠牲になってしまうということです。例えば、日英翻訳の場合、一つ一つの単語が辞書通りに訳出されるが、訳文の英語が不自然でエンド・ユーザーにとって読みづらかったり、英日の場合には、「意味は分かるけど日本人ならこんな言い方はしない」という、どうも違和感を覚えるような文章になったりします。

普通に考えれば、原文の意図を正確に伝える範囲内であれば、エンド・ユーザーにとって自然で馴染のある表現を使った方が良いですね。しかし、不思議なことに、そんなナチュラルな文章を嫌がる翻訳会社があります。例えば、日英翻訳の仕事をしている時、せっかく外国人のエンド・ユーザーの心を掴むような英語に仕上げても、「日本人には分かりづらいから」と指摘を受けることがあります。現に、私が勤めていた会社もそういうことがありました。

どうもその姿勢はおかしいと思いましたので、いっそのこと独立して、正確な対訳と自然な訳文の両立が特徴のブランドを確立しようと決心しました。2003年に個人事業者として独立して以来、極力エンド・ユーザーを意識した翻訳を心がけています。つまり、読みやすくて、分かりやすくて、馴染みやすい故に、エンド・ユーザーを説得するとか、賛同させるとか、行動を起こさせるとか、何かの効果を発揮する訳文に仕上げる努力をしています。

しかし、個人事業者である以上、取引相手の大半が翻訳会社(いわゆる「エージェンシー」)ですので、相手によって「言葉が固くなってもいいから」といって直訳を好む会社があって、先述の問題にぶつかってしまうことがあります。

え?「ならば、自分が会社になってやれば良いではないか!」って?そうです、その通りです。私もそう思いましたので、先日ついに会社を設立しました。「言葉の株式会社」と言います。主に翻訳業に携わっていますが、他に通訳、英語研修、ウェブ・デザインもやっています。

どの事業にしても、目指しているものは同じです。つまり、エンド・ユーザーを意識した言葉を通じて、相手に行動を起こさせるなど具体的な効果を挙げて、顧客に価値を提供することです。

原文と訳文が単語単位で直訳されていなくても、エンド・ユーザーにとってウケの良い自然な表現を使えば、言いたいことは伝わります。というか、その方がより鮮明に伝わります。そして、大きな成果を挙げることが可能です。

このメッセージを広めたいのです。証明して見せたいのです。一生懸命がんばりますので、皆さんのご支援・ご指導をよろしくお願い致します。